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2025.12.02

ティーチイン試写会@関西大学 イベントレポート

戦火での友情を描いた戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』(12月5日全国公開)。

日本の戦局が悪化していた昭和19年(1944年)9月15日に始まった「ペリリュー島の戦い」の史実に基づき、終戦を知らずに洞窟で2年以上も戦い続け、最後まで生き残った34人の兵士たちの戦火の友情を描いたアニメーション作品です。

 

12月1日(月)に関西大学にてティーチイン試写会が実施され、声優を務めた板垣李光人が登壇しました。

関西大学社会学部齊藤ゼミとの共催で実施した本イベント。齊藤ゼミの学生が戦争の記憶と教訓を次世代に伝えるために戦争関連資料を調査しドキュメンタリー映像を制作するなど平和学習に力を入れていることから、共催で本イベントを実施する運びとなりました。

映画本編上映後に実施されたティーチインの冒頭では、齊藤ゼミの学生が製作したドキュメンタリー映像「関西大学から見る戦争の記憶」のダイジェストVTRを放映し、学習内容を発表しました。

 

満を持しての登場となった板垣は学生たちからの大きな拍手に迎えられました。

せっかくの来阪ということで大阪について尋ねられた板垣は「いつも大阪に来ると必ず食べるお気に入りのたこ焼き屋さんがあるんです」「新世界でロケをしたことがあるんですけど、東京でロケをするのと全然雰囲気が違って。新世界では撮影中に積極的に話しかけてくださるおじ様がいたんです(笑)」と大阪らしいエピソードを交えて話し、笑いを誘いました。

劇中で板垣が演じた田丸は、板垣と同世代の設定です。

同世代の兵士という難しい役を演じた感想を聞かれると「僕にとって戦争は教科書で知るものであり、漫画や映画を通して見るものだったんです。田丸を演じるにあたって実際にペリリュー島に行って、戦車や墜落した戦闘機が残っているのを目の当たりにして。当時ここで生きていた人たちの鼓動を感じ、現実のものとして突きつけられました。自分と同年代の人々がこの場に確かにいたんだという事実と向き合うと、胸にくるものがありました」とペリリュー島に訪れた経験と共に語りました。

ティーチインということで関西大学の学生との質疑応答を実施することに。

学生からの“田丸の抱える、仲間の死を美談に変えるという葛藤をどのような思いで演じたか“という質問に対して、「戦争に行って国のために命を落とすことが美しいとされていた当時の価値観がある中で、田丸はそこに葛藤します。僕自身も原作や脚本を読んでいて同じ葛藤を抱いていました。田丸と同じ気持ちを僕も抱えていたから、その想いを乗せてスムーズに演じることができました」と話しました。

 

続けて“当時夢を心の奥にしまわざるを得なかった同年代の若者がいたということを、どのように受け止めて演技に反映したのか”という質問に対して「登場人物たちは故郷に帰って成したい目的や夢があって、それを支えに戦場という過酷な状況を生き延びていたんだと思います。夢というものが彼らを動かす原動力だったと思うんです。状況は違えど、学生の皆様も同じように頑張っているんだと思う。そんな気持ちとシンクロさせながら演じました」と真摯に答えました。

 

“今回の作品に携わる中で、戦争や平和に対する板垣さんご自身の考えに何か変化はあったか”という質問に対して「海外での戦争が連日報道される中で、戦争との心の距離感が近くなってきているような感覚がありました。ニュースを目にして、戦争のことを知らない自分に何ができるんだろうと思っていたときに、本作の声優のお話をいただいたんです。この作品に携わって初めて知ったこともたくさんありました。この作品に携わることが僕自身の知るきっかけになって、見てくれた人にとっても知るきっかけになる。若い世代の我々にできることは、知ることの連鎖を生み続けられるように、アクションをしていくことなんだと感じています」と本作に出演したことで生じた変化を語りました。

 

最後に「劇中にも怖い描写や目を背けたくなる場面があったと思うけど、そういう感覚や気持ちを大事にしてほしいと思います。この作品が戦争について知ることの連鎖を生むきっかけになったら嬉しいと思います。考えたり勉強をしたり思いを馳せたり…そうしてくれたらなおさら嬉しいですけど、知るということそのものが大きなきっかけだと思うんです。この作品がそのきっかけになってくれたら嬉しいと思います」と本作に懸けた想いを熱を持って語りティーチインを締めくくりました。

学生からの真摯な質問に対して板垣が丁寧に言葉を紡ぐ、白熱したティーチインとなりました。