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初日舞台挨拶@新宿バルト9 イベントレポート
戦後80周年を節目を締めくくる一作として、この冬、大スクリーンに登場した、映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』。
第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した武田一義による漫画をアニメーション映画化した本作がついに全国公開いたしました!
12月5日には新宿バルト9にて公開初日舞台挨拶が実施され、主演の板垣李光人、共演の中村倫也、久慈悟郎監督、武田一義(原作・共同脚本)が登壇しました。

満員御礼の上映後に実施されたこの日。
主人公の兵士・田丸均の声を務めた板垣は「感無量です」と念願の封切りに安心した笑顔で「観てくれた皆さんの感想もSNS等で届いておりますので、今日映画をご覧になった方も自分の中で整理したり、SNSに書き留めたり、感想をお聞かせください」と呼び掛けました。

田丸と交流を深める兵士・吉敷佳助の声を務めた中村も「観て、知って、感じていただきたい作品」と評しながら、観客席に阪神タイガースのユニフォームを着た子供を見つけると「タイガースファンなの?映画怖かったね。でもその記憶が大人になっても残る貴重なものになるので…阪神と共に応援してください」とジョークを飛ばしつつ交流している様子が見えました。

久慈監督は板垣&中村の熱演に触れて「芝居のコンセプトとしては、ペリリュー島にいる等身大の若者の声を表現してほしかった。中でも最後のセリフは外せない所だったので、アフレコ時はスタッフ一同注目して聴いていたけれど、バシッと一発で決めていただけた」と絶賛。武田も「お二人の第一声が想像を超えていて、自分がイメージしていた田丸と吉敷過ぎた」と賞嘆。これに中村は「声優としての仕事増えますかね?売れたいな~!」と大喜びでした。

作品の反響について板垣は「子供の頃に祖父から戦争の話を聞いた事を思い出したとか、そういう声を頂く。そんな記憶が本作をきっかけに呼び起されて、戦争に対する理解が進むきっかけを作れたのではと思う。それこそがこの作品を世に届ける意味の一つになって来るので嬉しいです」としみじみ。一方、中村は「僕は友達が少ないので反響と言われても…」とボケつつ「この登壇前に関係者から『SNSで好意的な受け止め方をしている声が多い』と聞いたので良かったなと思います」と高評価に笑顔を見せました。
ステージ背景には、試写会等で先んじて本作を鑑賞した観客からの「若い世代にこそ見てほしい心震える映画」「かわいい絵が、戦争の残酷さを浮き彫りにする」「自然の綺麗さと残酷さの対比」「もうずっと泣いてた」「今ある当たり前の日常をもっと大事にしなきゃいけない」等の感想が記されたパネルが設置されました。
武田は「戦争ものは視聴年齢層が高くなりがちなので、そのハードルを下げて若い人に観てもらうために絵柄や主人公の性格などを設定した。だからお子さんが観てくれるのが本当に嬉しい。原作ファンの方から“ちゃんと『ペリリュー』だ”と言ってもらえたことにもホッとしている。」と述べます。

板垣は「泣く、というのは僕らが伝えたいものが伝わって、それが涙となっていると思うので、そのような反応が生まれるのは嬉しい事」と感涙という感想に手応えを感じている様子でした。中村は「歴史を題材にした作品の特徴は結末を知っているという事。この作品も太平洋戦争の結末を知っている状態で観始めると思うので、物語の中で起こる人間たちの会話や葛藤、選択の一つ一つが新鮮かつダイレクトに届いたのではないか」と推察しました。
そんな中、主題歌担当の上白石萌音からサプライズでビデオメッセージが届きました。上白石萌音は「本当に優しい歌詞とメロディー。そして当たり前のようによう生きている日々は、実は当たり前ではなくて、誰かが頑張ってできているもの。奇跡のようなことだけど、奇跡ではない。」と自身の主題歌と本作を噛みしめました。
また「お二人はお互いの声を聴いてどんな感想を持ちましたか?このシーンが最高だったとか、お互いに褒め合っていただけたら嬉しい」という上白石からの要望に、中村は「俳優なら褒め合う時間が恥ずかしい事はわかっているはずなのに…上白石さんは悪い子だねえ」とニヤリ。
板垣から「中村さんの声には、ガッツリ体重をかけて寄りかかっても大丈夫だという安心感があった」などと褒められると、笑いをこらえきれない様子の中村は「思いついちゃったから言っていい?人の声を物置みたいに言ってくれて。100人乗っても大丈夫!?」と思いつきのネタに自分で言って自分で腹を抱えていました。

また上白石による主題歌について板垣は「エンドロールと共に主題歌が流れて来る事が心地よくて、余韻を優しく撫でてくれるような曲だと思いました」と言うと、中村も「子守歌のような、鎮魂歌のような。包み込みながら透き通ったメロディと声で前を向かせてくれる美しく優しい温かい主題歌」と大絶賛でした。
最後に中村は「この映画を観ると、普段思いを巡らせなかったところに思いを巡らせるようになったり、色々な事を考えたりするようになると思います。それぞれ感想を抱かれると思いますので、自分の中で熟成させるのも良いので是非とも受け取ってください」と呼び掛け、主演の板垣も「この作品を観て誰かに伝えたい、知ってもらいたいと思っていただけたならば、色々な人に広げていただきたいです。色々な方の心の中に種が植え付けられたらいいなと思います。そして自分の家に帰って“ただいま”と言える今の尊さを、少しでも感じていただけたら嬉しいです」と期待を込めました。